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子供の寝かしつけ中に寝落ちしない厳選漫画:『キングダム』

公開日: : 最終更新日:2014/06/03 書評

『キングダム(既刊33巻:集英社週刊ヤングジャンプ連載中)』
原 泰久(著)

 連載中のヤングジャンプで何度か目にしたことはあったが、歴史物であることと多少絵柄にくせがあることから今まで手を出してこなかった。今回、ふとしたことから読み始め、展開の滑らかさ、キャラの立ち具合、セリフ回しの上手さによりぐいぐい引きこまれる。歴史物にありがちな説教臭さが一切ないのもいい。中学生の頃に横山光輝三国志を二晩で読み通した時と同じくらいかそれ以上の面白さである。添い寝中に読んでも決して寝落ちしない興奮が得られる。

 1巻から10巻までは、若き始皇帝「嬴政」と主役である下僕「信」の出会いから宮中のゴタゴタを乗り越えて物語の方向性が決まるまでを描いている。11巻~16巻は信のデビュー戦から前半の主要キャラである「王騎将軍」 の死まで。17巻~24巻は王騎将軍を破った趙国宰相「李牧」による秦趙同盟の成立とその後の信の成長の話。25巻~33巻は李牧が主導した韓・魏・趙・斉・燕・楚による合従軍の秦攻撃とその攻防戦となる。どのシーンでも臨場感があるため王騎将軍の死には涙し、秦趙同盟には度肝を抜かれ、合従軍には恐怖する。既刊の最終巻まで読み終えると直ぐにも1巻から読み返したくなるほど麻薬的な面白である。

 面白さのみならず学習教材としての効果も高い。キングダムの読了後は昔習った春秋戦国時代がいきいきとした肌感のある流れとして感じ取れ、人名や地理、因果関係などが複合的に理解できるようになる。お陰でフィクション漫画にありがちな読み終わった後の虚脱感・虚無感がない。むしろ時間を有効に活用しているという満足感が高まる。漫画好きだけでなく日本人全員に必須と言える漫画である。

 なお、NHKでアニメ化もされこちらも漫画に劣らず完成度が高い。キャラクターの顔つきや声が非常にマッチしており、漫画からスタートした者にも違和感なく入っていける。また、漫画にあった残酷シーンは適宜カットされているため小学校の低学年からでも楽しめる。こちらも併せて見ておきたい。ちなみに7歳の娘もアニメにはまり、今では人物名で山の手線ゲームができるほど。

 添い寝有効度 :★★★★★
 子供くいつき度:★★★★★

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